物流ニッポン 連載記事「人財育成・定着◆実践セミナー⑬ コーチング 1人ひとりの特性把握 話しやすい雰囲気がカギ」 |
効果的なコーチングを行うには、リーダーとメンバーとの間の信頼関係の構築が不可欠です。 特に会社という組織において、お互いの信頼を基盤とした人間関係の重要性について 感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。では、リーダーとしては 具体的にどのようなメンバーへの指導法が有効と考えられるのでしょうか。 今回はそのポイントについて検証してみます。 ■部下への指導は、“個別”に対応する コーチングにおいては、リーダーとメンバー1対1の“個別指導”が基本です。 これに対して、学校の授業のように、一人の先生が多数の生徒に同じ内容のことを、 同じ方法、同じ速度で教えることを“ティーチング”といいます。 したがって、“コーチング”は、メンバー一人ひとりの能力や経験、性格に合わせて、 指導する内容も方法も速度も変える“個別指導”が基本となります。ですので、 コーチングを行うにあたってリーダーは、メンバー一人ひとりの特性を よく把握しておかなくてはなりません。特性の把握の仕方については別のテーマとなりますので、 稿を改めて解説したいと思います。 次に個別指導のポイントについてですが、AさんにはAさんの、 BさんにはBさんの特性に応じた、いわばカスタマイズがコーチングの基本なのですから、 その指導も各自の成長に合わせてバージョンアップさせていかなくてはなりません。 そのステップとしては、最初はリーダー自らやってみせて、手とり足とり教えながら、 具体的な指示を出していきます。次に、その行動 を見きわめた上で、確実に達成できそうな目標を立てて実行してもらいます。 そして、自信をつけたら自分で目標を立てさせて実施してもらいます。 個別指導においては、各自のステップアップを図ることが一つの狙いといえますが、 その際、リーダーが心得ておくべきポイントとして、以下の3点を提起します。 <1> 相手の強みや長所を生かす ⇒ よいところを積極的にほめよう <2> 手を変え、品を変えて指導する ⇒ 相手の特性に応じた指導法を考えよう <3> やりながら工夫する ⇒ 試行錯誤しながら効果的な方法を探そう ■環境づくりとリーダーのコーチングスキル コーチングは1対1の指導となるのですから、とにかく笑顔でオープンな姿勢で メンバーと話すことを心がけます。 つまり、“相手が話しやすい環境づくり”がコーチングの第一歩です。 それから、相手の話を真剣に聴く姿勢を示すことは大切ですが、 眉間にしわを寄せたり、腕組みをしたりすると、威圧的な態度に受けとめられ、 会話が進まないことがあります。身振り手振りも交えたボディランゲージを工夫して、 話しやすい雰囲気をつくりましょう。 また、時間のとり方、かけ方にも配慮しましょう。 相手の都合も考えて10分くらいが最適かなぁとか、 相手に心の準備をする時間も提供しましょう。 そして、意外に気づかないのが、話をする時の座る位置です。 1対1の対話というと、机を挟んで向かい合ってフォーマルにしなければならないと 思っている人もいますが、そんなことはありません。 真向いは労使交渉での話し合いなど対立的な関係をイメージさせ、 友好的な位置関係とはいえません。机の角を挟んだ90度の位置。 丸いテーブルなら少し開いた120度の位置。あるいは、 お互いの椅子を横に並べた180度の位置で椅子に腰かけた方が、 話しやすい雰囲気をつくるこができます。 以上の点を含め、リーダーとして知っておきたい 7つのコーチングスキルを下の表にまとめましたので参考にしてみてください。 ★7つのコーチングスキル ❶コーチングしやすい「環境」をつくる ➋相手が話しやすいように「聴く」 ➌「問いかけ方」を工夫して、答えを引き出す ❹相手のよいところを見つけて「ほめる」 ❺怒るのではなく「叱る」 ❻効果的に「励ます」ことでやる気を引き出す ❼メンバーの立場になって「感謝する」
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