物流ニッポン 連載記事「人財育成・定着◆実践セミナー⑭ コーチング 信頼関係構築カギ リーダー地自身の成長も」 |
前回は基本的なお話として、コーチングとリーダーシップとの関係について解説しました。 まず、コーチングとは、「コミュニケーションによって相手の能力を引き出して、 目標達成をサポートすること」であり、それによる相互の信頼関係の構築こそが、 リーダーに求められる真の役割であるということがお分かりいただけたと思います。 したがって、チームがチームとして機能したときにはじめて、 その人は「リーダーになった」といえるのです。ですから、 「僕は部長という役職なのだから、皆が自分のいうことを聞いて当たり前」 と思うのは大きな間違いです。その人の役職や肩書だけで人は動くものではありません。 リーダーは、リーダーシップを発揮しなければならない立場にあるからこそ、コーチングを学ぶ必要があるのです。 ■役割や立場に応じたリーダーシップ ですが、ひと口に“リーダーシップ”といっても、その人の立場や役割によって、 リーダーシップの発揮の仕方やコーチングの内容は異なります。現場リーダーと経営者では、 仕事の性質も求められるスキルも違うからです。また、そもそも会社というのは、 様々な仕事や部署によって構成される組織なのですから、 いくら少人数の会社でも一人ですべての業務をこなすのは困難です。 たとえば一般的な企業では大まかに見て、「エグゼクティブ(社長)」 「ディレクター(部長)」「マネージャー(課長)」 「チームリーダー(主任)」というような4つの階層で構成されると思います。 それぞれの立場や役割は、以下のように捉えることができます。 ・「エグゼクティブ(社長)」 ⇒ 組織のビジョンを提示し、すべての結果責任を負う ・「ディレクター(部長)」 ⇒ 具体的な方針を事業計画に落とし込む ・「マネージャー(課長)」 ⇒ 人・モノ・金・情報・時間をやりくりして職務を遂行しながら、部下の能力を啓発する ・「チームリーダー(主任)」 ⇒ 現場でチームメンバーの一人として業務を担当しながら、具体的な指示を出す ■メンバーを信じ、仕事を任せること 社長は社員がいなければ会社は成り立たず、主任は他のメンバーが いなければ現場業務が機能しません。しかも、4つの階層において、 それぞれの業務や役割は違うのですから、 お互いに持ちつ持たれつの関係にあることを忘れてはいけません。 さらにいえば、誰にでもそれぞれ長所や持ち味があり、 毎日何かを学習し成長しています。相手の能力を引き出すことが リーダー本来の役割なのですから、リーダーシップにおいては、 常にメンバー各自のよいところを見て、褒めて、伸ばしていくことが大切です。 「まだまだ彼には任せられない」というのではなく、 「彼に任せてみよう」と思い切ることです。自分でやった方が早いし ラクだからと仕事を抱え込み、他のメンバーに成長の機会を提供しないようでは、 メンバーの能力は伸びていきません。 人には誰にでも無限の可能性があると信じること。 そして、信頼されて任せられた人は、その期待に応えようとするものです。 以上の点から、コーチングに必要な心構えとして、 「信じる」「認める」「任せる」という3つのキーワードを提起したいと思います。 信じることにより信頼関係が生まれます。 認めることにより成長のステップが形成されます。 任せることにより責任感と能力の啓発を促します。 「どうしても部下に任せられない」というのでしたら、 その仕事を具体的に書き出してみることをお勧めします。 なぜ任せられないのか改めて考えてみると、 業務の進め方や指導の仕方の問題点が浮き彫りになり、 リーダーとしてのスキルや資質の問題に気づくことがあります。 そうしたことから、“リーダー自らの成長”という点でも コーチングの取り組みは大きな意義があるのです。
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